
NovelAIで画像を生成していると、設定画面に「サンプラー」という項目が目に入ります。選択肢がいくつか並んでいて、「これは何だろう」「どれを選べばいいんだろう」と気になったことがある方も多いかと思います。
本記事では、NovelAI v4.5におけるサンプラーの仕組みと選び方を解説します。各サンプラーの特徴から、サンプラーよりも優先して理解したほうがいいことまで、NovelAI歴9,000時間以上の経験をもとに実践的にまとめました。
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サンプラーとは何か
サンプラーとは、AIが画像を生成するときのノイズの除去方法を決める設定です。
NovelAIをはじめとする現代の画像生成AIの多くは、「拡散モデル(Diffusion Model)」と呼ばれる仕組みで動いています。拡散モデルでは、最初に砂嵐のようなランダムなノイズ画像が用意されます。そこからノイズを少しずつ取り除いていくことで、最終的にきれいな画像が完成する、という仕組みです。
このノイズを取り除く工程を「サンプリング」と呼びます。そして「どうやってサンプリングするか」の計算方式を選ぶのがサンプラーです。
各サンプラーの計算方式が異なれば、同じプロンプト・同じシード値でも生成される画像に多少の違いが生まれます。ただし、その違いが「必ず予測できる」わけではありません。この点は後ほど詳しく触れます。
そしてサンプラーはNovelAI独自の機能ではなく、拡散モデルを採用している画像生成AI全般に存在する技術的な概念です。Stable DiffusionなどほかのAIツールを使ったことがある方なら、同じ名前の設定を見たことがあるかもしれません。
v4.5で選べるサンプラーの種類
v4.5では以下の6種類のサンプラーが選択できます。
- Euler Ancestral(オイラー・アンセストラル)
- Euler(オイラー)
- DPM++ 2S Ancestral(ディーピーエム・プラスプラス・ツーエス・アンセストラル)
- DPM++ 2M SDE(ディーピーエム・プラスプラス・ツーエム・エスディーイー)
- DPM++ 2M(ディーピーエム・プラスプラス・ツーエム)
- DPM++ SDE(ディーピーエム・プラスプラス・エスディーイー)
なお、モデルによって選択できるサンプラーの種類が異なります。v3時代に使えたサンプラーがv4.5では表示されない、あるいは逆のケースもあります。この記事ではv4.5の環境を前提に解説します。
公式ドキュメント(https://docs.novelai.net/en/image/sampling/)には、サンプラーについて次のような記載があります。
「異なるサンプラーは異なる画像を生成しますが、その違いは必ずしも明らかであったり予測可能であったりするとは限りません」 「DPM++ 2MとEuler Ancestralは、NovelAI Diffusionと組み合わせることで、一貫性のある高品質な画像生成を実現するため、推奨サンプラーです。画像生成について深い知識がない限り、サンプラー設定はそのままにしておくことを強くお勧めします」
公式が「そのままにしておくことを強くお勧め」と明言しているのは、裏を返せばサンプラーの違いを把握することよりも優先すべき設定が他にある、という考え方の表れでもあります。
各サンプラーの特徴と傾向
各サンプラーには計算方式の理論的な違いがあります。ただし実際の比較では「このサンプラーならこうなる」と一律に言い切れる傾向は出にくく、プロンプトや他のパラメータとの組み合わせによって結果が変わります。以下はあくまでも「傾向として共有されている情報」としてお読みください。
サンプラーを大まかに整理すると、「Ancestral」という名前が付くものと付かないもので特性が分かれます。Ancestral系(Euler Ancestral、DPM++ 2S Ancestral、DPM++ 2M SDE)は生成の各ステップでランダム性が加わるため、同じシード値でも生成のたびに結果が微妙に変わります。一方、Ancestralが付かないもの(Euler、DPM++ 2M、DPM++ SDE)は生成のたびに出る結果のブレが小さく、同じシード値に対して毎回近い画像が出やすいとされています。
なお、サンプラーを変えてもAnlasの消費量は変わりません。コスト面を気にせず試せる設定ではあります。
Euler
最もシンプルな計算方式のひとつです。生成のたびに出てくる画像のブレが小さく、同じプロンプト・同じシード値に対して毎回近い結果が出やすいとされています。「DPM++ 2M」と似た出力傾向が見られることもあります。
私はv3の時代からv4.5の現在まで、一貫してこのEulerを使用しています。他のサンプラーに切り替える必要が生まれた場面は、ほとんどありませんでした。
Euler Ancestral
公式が推奨するサンプラーのひとつです。名前に「Ancestral(アンセストラル)」が付くサンプラーは、生成の各ステップでわずかなランダム性が加わる特性があります。そのため同じプロンプトでも、生成のたびにやや異なる結果が出やすいとされています。比較検証では「DPM++ 2M SDE」と似た出力傾向があるとも言われています。
Eulerと比べると「生成のたびに少し違う絵が出る」ことを好む方に向いている選択肢と言えます。
DPM++ 2M
公式が推奨するもうひとつのサンプラーです。「DPM++」系は過去のサンプリングステップの情報を取り入れながら次のサンプルを選ぶ仕組みで、安定性と品質のバランスが良いとされています。「Euler」と似た傾向が見られることもあります。
DPM++ 2M SDE
「Euler Ancestral」と似た出力傾向があると言われているサンプラーです。Ancestral系の特性を持つため、生成のたびに少し異なる結果が出やすい傾向があります。
DPM++ 2S Ancestral
Ancestral系ですが、同じAncestral系のEuler AncestralやDPM++ 2M SDEとは異なる雰囲気が出やすいとされています。他のサンプラーとは一線を画した個性的な出力になりやすく、同じプロンプトでも雰囲気がかなり変わることがあります。気分転換に試す場合の選択肢として挙げられることがあります。
DPM++ SDE
名前にAncestralは付きませんが、出力の個性は他の収束系(EulerやDPM++ 2M)とも異なります。DPM++ 2S Ancestralと並んで、他の4種類とは雰囲気が変わりやすいサンプラーとして挙げられることがあります。同じプロンプトでも印象が変わる出力が欲しいときの選択肢のひとつです。
サンプラーの違いが「分かりにくい」理由
ここまで各サンプラーの傾向を説明しましたが、実際に比較生成してみると「どれがどうなるという明確な傾向が読み取りにくい」と感じるケースが多いです。
その理由のひとつは、サンプラーの影響よりもプロンプトの内容やシード値、ステップ数、正確度(CFG Scale)といった他のパラメータの影響の方が、出力に対して大きく作用するからです。
たとえばシード値を固定したまま同じプロンプトで各サンプラーを比較すると、確かに異なる画像が出ます。ただしその違いが「サンプラーの個性によるもの」なのか、「たまたまそのシード値との相性によるもの」なのかを切り分けることは難しいです。別のシード値で同じ比較をすると、今度は別のサンプラーの結果の方が好みに合うこともあります。
このため「このサンプラーが最強」という結論を出すことは、あまり意味をなしません。公式が「違いは必ずしも明らかでも予測可能でもない」と述べているのも、この難しさを踏まえてのことだと思います。
サンプラーよりもプロンプト理解を深める理由
ここからが、この記事で最も伝えたい部分です。
NovelAIはバージョンアップを重ねるたびに、モデルの仕組みそのものが変わっています。v3からv4、v4.5へと進化する過程でアーキテクチャが大きく変わっており、v3時代に検証された「このサンプラーが最適」という情報が、v4.5では通用しないケースもあります。
サンプラーの細かい違いを覚えることは、バージョンが上がるたびに見直しが必要になる可能性がある、学習コストパフォーマンスの低い知識といえます。
一方でプロンプトの知識は、モデルが変わっても応用が利きます。タグの選び方、順序の考え方、強調の使い方は、v3からv4.5にかけても根本的な考え方は変わっておらず、蓄積した知識がそのまま活きます。
v4.5はプロンプトへの忠実度が大きく改善されたモデルです。書いた内容が以前よりずっと素直に反映されるようになっているため、プロンプトの精度がそのまま出力の精度に直結します。
たとえばサンプラーをどれに変えても、笑顔の指示を「smile」と書くだけでは表情が弱く出てしまうことがあります。一方でv4.5の強調を使って 1.5::smile:: と書くと、笑顔のニュアンスがはっきり強まります。この差は、サンプラーを変えることで生まれる差よりもずっと大きく、そして予測可能です。
プロンプトの理解が深まると、「なんとなく生成する」から「狙って生成する」への移行が起きます。タグの選び方・順序・強調の組み合わせを自分でコントロールできるようになるため、同じシード値を使いながら表情だけ変える、あるいは背景だけ差し替えるといった、精度の高い操作ができるようになります。うまくいかないときに「どのタグが問題か」を特定しやすくなるため、試行錯誤の効率も上がります。
9,000時間以上使い続けてきた経験から振り返っても、サンプラーをこだわって使い分けた場面よりも、プロンプトを1語変えた方が出力に明確な差が出た場面の方がずっと多かったです。
サンプラーを変えるのが有効な場面
ここまでサンプラーへの依存度を下げることをお伝えしてきましたが、サンプラーを変えることが意味を持つ場面もあります。
それは「同じプロンプトで何度生成しても、どうしても気に入った雰囲気が出ない」というときです。プロンプトを変えずに画像の雰囲気を変えたい場合には、DPM++ 2S AncestralやDPM++ SDEに切り替えてみると、他の4種類とは異なる出力になることがあります。
ただしこの場合も「最後の手段として試してみる」程度の位置づけが現実的です。先にプロンプトの見直しや強調の調整を試した上で、それでも変化が欲しい場合にサンプラー変更を検討するという順序をおすすめします。
注意点:サンプラー情報の鮮度について
サンプラーに関する情報は、バージョンによって異なります。「このサンプラーが最高品質」という記事はありますが、それがどのバージョンで検証された情報なのかを確認するようにしましょう。
v3時代の検証結果をv4.5にそのまま適用しようとすると、意図した結果が得られないことがあります。また今後のアップデートでサンプラーの特性や選択肢が変化することも考えられます。
よくある質問
Q:サンプラーを変えるとAnlasの消費量は変わりますか?
A:変わりません。サンプラーの変更はAnlasの消費量に影響しないため、コストを気にせず試せる設定です。
Q:EulerとEuler Ancestralはどちらがいいですか?
A:どちらが優れているとは言い切れません。Eulerはシード値に対して安定した出力が出やすく、Euler Ancestralは生成のたびに少し異なる結果が出やすいという特性の違いがあります。気になるようであれば同じプロンプト・同じシード値で両方試してみて確認してみてください。
Q:v3時代に「このサンプラーが良い」と聞いたのですが、v4.5でも同じですか?
A:そのまま通用するとは限りません。v3とv4.5ではモデルのアーキテクチャが大きく異なるため、v3での検証結果がv4.5で同じように出るとは言えない場合があります。v4.5の環境ではあらためてデフォルトから試すことをおすすめします。
Q:サンプラーを変えても画像の品質が上がらないのはなぜですか?
A:サンプラーを変えることで「別の画像が生成される」ことはありますが、「品質が上がる」とは言い切れません。品質に直結するのは、プロンプトの内容・品質タグ・ステップ数・正確度(CFG Scale)といった他のパラメータです。品質に悩んでいる場合はまずプロンプトの見直しを試してみてください。
Q:他のユーザーが推奨しているサンプラーを真似すべきですか?
A:参考にすること自体は問題ありませんが、サンプラーは生成環境やプロンプトの組み合わせによって結果が変わります。また、その推奨がどのバージョンで検証されたものかも確認してみてください。まずは自分の環境でデフォルトのまま試し、慣れてきたら変えてみるという順序の方が効率は高いと思います。
まとめ

NovelAIのサンプラーは、画像生成のノイズ除去手順を決める設定です。v4.5では6種類から選択でき、公式にはDPM++ 2MとEuler Ancestralが推奨されています。ただし公式自体が「違いは必ずしも予測可能ではない」と述べており、デフォルト設定のままを強く推奨しています。
私もv3の時代からv4.5の現在まで一貫してEulerを使用しており、それ以外に切り替える理由が生まれた場面はほとんどありませんでした。サンプラーはデフォルトのまま使いつつ、プロンプトの理解を深めることに注力する方が、長期的に画像の品質向上につながりやすいと思います。
まずは現在のデフォルト設定のまま、タグの選び方や強調構文の使い方から試してみてください。それだけで、生成できる画像の幅がぐっと広がるはずです。
さらに効率的に実践したい方へ
この記事では、NovelAIのサンプラーの仕組み等を紹介しましたが、画像生成をもっと効率化したい場合は、私が9,000時間以上の検証を経て作成したNovelAIプロンプト集を使ってみましょう。
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